IRトップメッセージ
株主の皆さまには、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申しあげます。また、当社グループに対し、皆さま方の多大なご支援とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
2024年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果により緩やか な回復基調にあったものの、依然として厳しい状況にありました。海外においても、欧米の高 い金利水準や中国不動産市場の停滞に伴う景気の下振れリスク、物価上昇、米国の政策動向、 中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等に留意する必要があり、先行き不透明な状況が 続きました。
化学工業におきましても、原燃料価格や物流費の上昇に加え、半導体・電子材料業界の生産 調整の影響等もあり、引き続き厳しい事業環境にありました。
このような情勢下におきまして、当社グループは、基礎化学品事業、精密化学品事業および 鉄系事業の収益力を強化するとともに、当社の強みであるフッ素関連技術を活かした新規製品 の開発に取り組んでまいりました。
当期の売上高は、623億51百万円と前期に比べ24億17百万円、3.7%の減少となりました。 損益につきましては、経常利益45億7百万円、親会社株主に帰属する当期純利益32億48百万 円となりました(前期は、主に電池材料における売上原価の高止まりと棚卸資産評価損の計上 により経常損失13億4百万円、電池材料の収益性低下を受けた減損損失の計上も加わり親会 社株主に帰属する当期純損失46億10百万円)。
今後の見通しにつきましては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により緩やかな回復 が続くことが期待されますが、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響や通商政策をはじめと したアメリカの政策動向が世界経済に与える影響、世界的な地政学リスク、金融資本市場の変 動リスク等に留意する必要があり、先行きの不透明感は依然として強く、経営環境は厳しい状 況が続くものと思われます。
このようななか、当社グループは、2022年度より新中期経営計画「Dominate1000」をスタートさせ、2024年度連結売上高1,000億円達成を目指して活動していましたが、企業を取り巻く経営環境の変化や業績動向を踏まえ、最終年度を2年間延長して計画を見直しました。当初計画した重点戦略に加えて新たな戦略・施策を実行し、企業価値向上を図ります。具体的には、精密化学品事業を中心とした事業の拡大、事業ポートフォリオの改革、ROIC経営の推進、IR活動の強化、政策保有株式の縮減などを進め、収益を回復させるとともに、資本コストを意識した経営を進めてまいります。
また、2030年に想定される社会を見据え、安定した経営基盤のもと、安全で働きがいを実感できる環境を提供し、独自性・優位性のある製品で世界最先端の技術を支え、サステナブルな社会に貢献する「創造的開発型企業」を目指してまいります。
株主各位におかれましては、今後ともなお一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。
2025年6月 代表取締役社長 長谷川 淳一
