IRトップメッセージ
株主の皆さまには、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申しあげます。また、当社グループに対し、皆さま方の多大なご支援とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
2023年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果により緩やかな回復基調にあったものの、依然として厳しい状況にありました。海外においても、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念などによる景気の下振れリスク、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等に留意する必要があり、先行き不透明な状況が続きました。
化学工業におきましても、原燃料価格や物流費の上昇に加え、半導体・電子材料業界の生産調整の影響等もあり、引き続き厳しい事業環境にありました。
このような情勢下におきまして、当社グループは積極的な営業活動を推進してまいりましたが、主に精密化学品事業部門における需要の大幅な減退により、経営成績は大きく影響を受けた結果となりました。
当期の売上高は、647億68百万円と前期に比べ139億06百万円、17.7%の減少となりました。経常損益につきましては、売上高の減少に加え、主に電池材料における売上原価の高止まりと棚卸資産評価損の計上により、経常損失13億04百万円となりました(前期は経常利益136億79百万円)。最終損益につきましては、電池材料の収益性の低下から投資額の回収が一部見込めないため、減損損失を特別損失に計上したことも加わり、親会社株主に帰属する当期純損失46億10百万円となりました(前期は親会社株主に帰属する当期純利益93億82百万円)。
今後の見通しにつきましては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果により緩やかな回復が続くことが期待されますが、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスク、原材料・エネルギー価格の高騰が企業収益を圧迫するリスク、世界的な地政学リスク、金融資本市場の変動リスク等に留意する必要があり、先行きの不透明感は依然として強く、経営環境は厳しい状況が続くものと思われます。
このようななか、当社グループは、2022年度より新中期経営計画「Dominate1000」をスタートさせ、2024年度連結売上高1,000億円達成を目指して活動していましたが、企業を取り巻く経営環境の変化や業績動向を踏まえ、最終年度を2年間延長して計画を見直しました。当初計画した重点戦略に加えて新たな戦略・施策を実行し、企業価値向上を図ります。具体的には、精密化学品事業を中心とした事業の拡大、事業ポートフォリオの改革、ROIC経営の推進、IR活動の強化、政策保有株式の縮減などを進め、収益を回復させるとともに、資本コストを意識した経営を進めてまいります。
また、2030年に想定される社会を見据え、安定した経営基盤のもと、安全で働きがいを実感できる環境を提供し、独自性・優位性のある製品で世界最先端の技術を支え、サステナブルな社会に貢献する「創造的開発型企業」を目指してまいります。
株主各位におかれましては、今後ともなお一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。
2024年6月 代表取締役社長 長谷川 淳一
