COMPREHEND IN 5MINUTES5分でわかるKDK
はじめに
関東電化工業は、1938年に、戦時体制のもと航空機の機体部材である金属マグネシウムの製造を目的に設立されました。終戦後は、か性ソーダ、水素、塩素誘導品を中心とした基礎化学品メーカーに転換し、1970年にフッ酸電解技術を確立してからは、フッ素化技術を応用した製品を次々と開発してきました。
当社は設立以来、電解等の専門技術やノウハウ、とりわけ、高純度のフッ素を効率よく大量に発生させるフッ酸電解技術、および、電池材料製品、液晶材料、医農薬等幅広い応用分野を持つフッ素関連技術についての知識を蓄積し今日に至っています。今後も、人材力を高めつつ、蓄積された専門技術等を活かして独自性のある新規製品を間断なく市場に投入する「創造的開発型企業」として、社会の根底を支える特色ある化学品を作り出していきたいと考えています。
経営理念
会社の永遠の発展を追求し、地球環境との調和を図りながら適正な利益を確保することにより、株主、ユーザー、従業員と共に繁栄する企業を目指して持続可能な社会づくりに貢献する。これを実現するために、当社独自の技術と心のこもったサービスでユーザーの期待に応え、誠意・創造性・迅速な対応・自然との調和をモットーに信頼される関東電化を築き上げる。
事業の紹介

-
特殊ガス製品
関東電化工業は、1970年にフッ酸電解技術を国内で初めて確立して以来、半世紀近くに及ぶ経験と実績により、世界トップクラスのフッ素ガス製造能力を保有するまでになりました。半導体や液晶パネルの製造に不可欠な関東電化の特殊ガス製品は、市場からその品質を非常に高く評価されています。
-
電池材料製品
わたし達の身近にあるスマートフォンやノートパソコンなどのモバイル端末や、環境にやさしい電気自動車の普及は、軽くて高容量なリチウムイオン二次電池によって支えられています。このリチウムイオン二次電池に必要不可欠な材料の1つが電解質「六フッ化リン酸リチウム」です。世界トップクラスの品質と供給能力を備えた六フッ化リン酸リチウムのメーカーとして、関東電化工業は今後も社会に貢献し続けていきます。
-
基礎化学品製品(無機・有機製品)
関東電化工業の創業事業の1つである基礎化学品事業部門では、イオン交換膜電解法にて食塩からか性ソーダ、塩素、水素を製造しています。これらを利用した基礎化学品製品(無機・有機製品)は、産業用基礎原料としてさまざまな用途に使用され、産業活動の発展に重要な役割を果たしています。
-
鉄系製品
関東電化工業の鉄系製品は、次代を切り拓く情報産業に大きく貢献しています。年々、多機能化と高画質化が進む複写機、プリンターでは、トナーを感光体に供給するキャリヤーおよびマグネタイトの品質が重要なポイントとなりますが、関東電化では独自の樹脂コート技術を駆使し、多様化するユーザーにニーズに合わせた最適な製品を提供しています。
研究開発
関東電化工業は、コア技術である「電解技術」及び「フッ素化技術」をベースに、強みとする「塩素化技術」「微細化技術」「高純度化技術」「有機・無機合成技術」「コーティング技術」「重合技術」などに関する独創的な技術を発展させ、構築してきました。
これまでに築き上げてきた技術とモノづくりのノウハウとを融合し、環境・エネルギー、電子・情報通信、ライフサイエンス・ヘルスケア、リサイクル等の分野に貢献する、独自技術を核とする新製品をスピード感を持って作り上げていく「創造的開発型企業」を目指していきます。
特殊ガス開発
市場では半導体・液晶製造用ガスとして三フッ化窒素、四フッ化炭素、六フッ化ブタジエン、六フッ化タングステン等の特殊ガスが使用されています。これら特殊ガスの用途としては主に、半導体基板の表面に回路パターンを刻むエッチング用と、半導体製造装置や液晶製造装置の内面を清浄にするためのクリーニング用とがあります。
年々半導体デバイスの微細化が進む中、材料やプロセスの多様化・高度化、及び世界的な環境規制に対応するため、代替ガスから次世代ガスまで全方位的に開発に取り組んでいます。
電池材料開発
リチウムイオン二次電池(LiB)は、今後の飛躍的な成長が期待される車載用等の大型電池分野をターゲットに更なる高容量化、長寿命化、安全性の向上に関する開発が盛んに行われています。
当社が得意とするフッ素化技術を活用して、高性能電解液用添加剤や新規電池材料の開発を推進するとともに、次世代電池材料についても探索を行なっています。
鉄系材料開発
高性能化・多機能化が進む複写機、プリンター等画像形成装置向けの現像剤用キャリヤーの開発に製造部門及び営業部門と連携して取り組んでいます。キャリヤーとは、静電荷像現像方式の複写機等で使用される粉体材料であり、複写機内でトナーを搬送する役割をしています。平均粒径30~100μmの鉄、フェライト、マグネタイト等をコア材とし、その表面に各種樹脂をコーティングして製造しています。
新規材料開発
得意とする微細化技術を活用して独自の無機ナノ粒子を開発しており、さらに無機ナノ粒子と樹脂等をコンポジット化した有機-無機ハイブリッド材料の開発を進めています。
中期経営計画
当社グループは2022年度に新中期経営計画「Dominate 1000~持続的成長と競争力育成~」をスタートさせ、2024 年度連結売上高 1,000億円達成を目指して活動しておりましたが、企業を取り巻く経営環境の変化や業績動向を踏まえ、最終年度を2年間延長する形で2023年度に計画の見直しを行いました。
当初計画した重点戦略に加えて新たな戦略・施策を実行し、2030 年に想定される社会を見据え、安定した経営基盤のもと、安全で働きがいを実感できる環境を提供し、独自性・優位性ある製品で世界最先端の技術を支え、サステナブルな社会に貢献する「創造的開発型企業」を目指してまいります。
1.中期経営戦略
重点戦略(2022年策定)
1精密化学品事業の拡大推進
(1)市場成長に対応する能力増強(半導体ガス・電池材料)
(2)顧客が求める(最先端、低GWP※)半導体ガス製品の市場投入
(3) 海外拠点との有機的連携
(4) ガス、電池材料製品の開発力強化
(5) 原料から最終製品までのグループ内一貫生産体制構築
※GWP:Global Warming Potential(地球温暖化係数)の頭文字。二酸化炭素を基準にして、ほかの温室効果ガスがどれだけ温暖化する能力があるか表した数字
2生産技術力の底上げ
(1) DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による生産性向上
(2) 品質保証能力の向上
3人材育成充実
(1) 人材開発、戦略的教育プログラムの導入
(2) 社員のwell-being追及(働きがいを実感)
(3) ジェンダー、多様性の推進
4社会的価値向上
(1) サステナビリティに対する活動推進
(2) エネルギー多消費型製品事業の縮小と脱炭素への取組強化
(3) リサイクルの推進
新たな戦略・施策(2023年見直)
1事業戦略
(1) 特殊ガス 開発力の向上 / 安定供給体制の構築
(2) 電池材料
急速な市場成長の取り込み / 原材料市況に左右されない事業構造の構築
(3) 鉄系事業
経営資源の集約と転換
(4) 基礎化学品事業
精密化学品事業への原料供給機能の強化
(5) 研究開発
顧客密着型の研究開発推進 / 研究開発部門と製造部門の連携強化
2資本効率向上
(1) 経営指標にROICを採用 (2) 政策保有株式の縮減
3ガバナンス強化
(1) 役員報酬制度の改定
4人的資本戦略
(1) 人材開発 (2) ダイバーシティの推進・社員のwell being の追求
5組織戦略
(1) IR の強化
(2) DX の推進
(3) 法務・輸出貿易管理体制の強化
2.中期経営計画数値目標(連結)
(2026年度)
売上高 | 1,000億円 |
営業利益 | 150億円 |
ROE | 12.0%以上 |
ROIC | 8.0%以上 |
3.設備投資・投融資計(5年間)
設備投資・投融資計 | 640億円 |