私が在籍する機能材料研究所は、主に当社で供給している鉄系製品の開発に取り組んでいます。私が携わっているのは、複写機やプリンターに使用される「キャリア」と呼ばれるものです。キャリアとは、トナーを感光体に運ぶために必要な物質で、複写機の画質性能を決定づける重要な役割を担っています。キャリアは、数10ミクロンの磁性粒子に表面処理を施したものが一般的です。なにぶん微細なものなので、試作の際の取り扱いには注意が必要です。トナーとの摩擦帯電により、キャリアにトナーを付着させて運ぶのですが、複写機の構造などにより、プラスマイナスの電荷をどちら方向に選択するかは、キャリアでコントロールします。複写機の種類やトナーの性質により、キャリアに要求される特性も異なり、それぞれに合わせた開発が必要です。
汚れのないきれいな画質を実現するのはもちろん、耐久性や材料コストなども含めて考え、開発にあたらなければなりません。フルカラー対応が進み、高画質・高速化へのニーズがさらに高まり、競争も激化しています。多様な課題を与えられますが、それに応えれば、最終的にはエンドユーザーに貢献できる。プリンターなどを使っている人を見かけると、
「その中に入っているキャリアは僕が作ったんだ」と言いたくなります(笑)。
やはり、自分で研究開発した製品が採用され、市場に出たときがいちばん嬉しいですし、特にイメージどおりにカタチになったときは最高です。お客様と実際に会い、要望をヒアリングし、サンプルを作成、評価をいただくという一連の流れを自分自身で行えるのも、魅力。OKが出るまでは試行錯誤の連続ですが、だからこそ製品化された際の喜びも大きくなるのです。技術者自身が窓口となり、お客様と二人三脚でモノ作りをするスタイルでは、信頼関係が何より大切。プレゼンではいつも相手の立場を考えて丁寧に、提案には必ずプラスアルファを付加する、納期などの期日は誠意を持って守るなどを心がけています。
機能材料研究所は、若い開発者が多いこともあり、とてものびのびした雰囲気です。周囲には緑も豊かで、自然環境も抜群。みんなの顔を認識できる規模なので、「このテーマならあの人に聞こう」とすぐにアドバイスを受けることができます。尊敬できる先輩たちの仕事ぶりを見ていると、自分も早く追いつきたいなあと感じます。私も、「キャリアのことなら小熊に任せろ」となりたいですね。できれば、社外からも評価される開発者に。